諦める事は、決して簡単ではない

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「私、その話てっきり棗くんにしたんだとばっかり…」 「聞いてない。昨日、関から聞くまで知らなかった」 ……何か、棗くん、いつもとちょっと口調が違う。 「……もしかして棗くん、何か怒ってる?」 「……さすがにそんな事で怒ったりはしないけど」 けど、の続きを待ったけれど、棗くんは軽く私を睨みつけたと思ったら急に私の頬をギュッとつねってきた。 「ちょ…何して…」 「別に?意地悪したいだけ」 一瞬で棗くんは私の頬から指を離し、私は何が何だかよくわからないままつねられた頬をさすった。 凄い軽くだったから、少しも痛くなかったけど。 そして棗くんはバスから降りる直前、突然核心を突くような事を口にした。 「そうだ、これやるよ」 「え?」 棗くんは自分のカバンからガサガサと何かを取り出し、私の目の前にそれを差し出した。 「……かぼちゃの、クリームパン?」 それは、コンビニで売っている季節限定のパンだった。
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