諦める事は、決して簡単ではない

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「せっかく先月棗くんとデートして良い雰囲気になったと思ってたのに…棗くんからの誘い断っていいの?純が勉強してる内にいつの間にか他の女のモノになっちゃうかもよ?」 「……そんなの、私が勉強しててもしてなくても関係ないよ。……いつかそうなるんだから」 軽くふてくされながら、私は教室の机に顔を伏せてパラパラと参考書をめくった。 机の上に広げた参考書とノートの上には、棗くんがだいぶ前に出張のお土産でくれたシャープペンが転がっている。 「なになに、どうしたの?ずいぶんネガティブだね」 「……未央はいいね、いっつもポジティブで」 「純だっていつもは明るいじゃん」 根本的には明るい方だとは思う。 けど、病気の事と棗くんに対してだけは、あり得ないくらいネガティブになってしまう自分。 悪い方向に考えないようにって思えば思うほど、悪い妄想ばかりが膨らむ。 ……これが初恋じゃなければ、やっぱりもう少しうまくやれるのかな。 「ネガティブになる事ないじゃん。だって棗くん、綾乃の事は吹っ切れたんでしょ?」 「そうだけどー……」
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