それは確かに、初めての恋だった

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1月10日。 受験当日の朝。 その日の朝は、いつもよりも目覚めが良かった。 「……よしっ」 家を出る前に、何度も持ち物のチェック。 筆記用具、受験票、それから棗くんがくれた御守り。 いつもなら、本番に極度に弱い私。 高校受験の日も、もの凄く緊張し過ぎてお腹を痛めた事を思い出す。 だけどこの日は、何故かそこまでの緊張はなかった。 「純、忘れ物ない?」 「うん!バッチリ大丈夫」 多分、この日のために何日も前からずっと努力してきたからだと思う。 予備校に通っていない分、他の受験生よりは勉強時間が劣っているかもしれないけれど。 自分の中では、今までの人生で最も努力した期間が今だと胸を張って言えるくらい、頑張ってきたと思う。 あとはその努力を、本番にぶつけるだけ。 「何か純、いい表情してるね」 「え…そう?」 「うん。何か、自信がある顔してて、いいよ凄く」 ママにそう言われて鏡で自分の顔を確認してみたけど、自分ではいつもとどう違うのかよくわからなかった。
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