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「……何さっきからヘラヘラしてんの」
「えっ?ウソ、私ヘラヘラしてた?」
「ヘラヘラっていうか…ニヤニヤっていうか」
公園からの帰り道。
俺の隣を歩く彼女は、自転車を押しながら満面の笑みを俺に向ける。
「だって、幸せ過ぎて勝手に顔が笑っちゃうんだもん」
「………」
こういう素直な反応。
多分、俺が彼女に惹かれた部分。
「棗くん、私自転車だから送らなくても大丈夫だよ?私の家ここから本当すぐだし…」
「いいから。……今日は絶対に送る」
送るなんて、半分以上口実で。
本当は、まだあと少し一緒にいたいだけ。
まだ、離れたくないだけ。
隣で俺を見上げて笑う彼女の姿から、目を離したくないだけ。
「棗くんの家もこの辺なんだよね?」
「そう。俺は向こうの方だけど」
「じゃあ今度、棗くんの家に行ってみたいなぁ」
「……ダメ」
「え!」
密室で2人きりになったら、間違いなく手を出す自分が簡単に想像出来てしまうから。
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