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「……良かったですね。何だかんだでうまくいって」
良かっただなんて、本気で思ってないだろ絶対。
その口調で簡単にわかってしまう。
大事な幼なじみの彼が、全く俺を歓迎していないという事が。
「……どうも」
と、一応無難に返してみた。
すると彼は本音をさらけ出してきた。
「正直、何でこんなオッサンがいいんだか俺にはよくわからないんですけど」
「……オッサンって」
まだまだ自分は若いつもりでいたけど、確かに高校生から見れば24歳でもそれなりに大人には見えるのかもしれない。
「でも…アイツがどうしても好きだって言うから。それなら、応援してやるしかないかなって」
「……応援してくれるのは有り難いけど」
彼の気持ちなんか、俺にとってはどうでもいい事。
知らなくてもいい事。
でも多分彼は彼女の事が好きで。
きっと、もっとずっと前から好きで。
高校生の頃、関と綾乃が付き合い始めたと知ったときに自分が感じた気持ちと、少しだけ似ているような気がして。
勝手に頭の中で重ね合わせていたら、言わなくてもいい余計な一言を口にしている自分がいた。
「……純に、気持ちを伝えた事は?」
彼は一度でも、彼女に自分の気持ちを伝えた事があったんだろうか。
自分には無関係だとわかっていながらも無性に気になってしまって、聞かずにはいられなかった。
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