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「パパは私には甘いから多分大丈夫だとは思うんだけど、やっぱり初めての事だからどんな反応されるかちょっと怖かったりもするんだ」
「……俺も結局は甘いんだよね」
「え…」
「あんたには」
「………」
ハンドルに軽くもたれかかり、顔だけを私に向けた棗くんが、ふっと柔らかい笑顔を見せた。
その瞬間。
今日、未央に言われた言葉を何故か突然思い出してしまった。
「……ベタ惚れ……」
「は?……ベタ惚れ?」
棗くんの柔らかな笑みが一瞬で怪訝な表情に切り替わり、私はハッと我に返った。
「ち…違うの!今日未央に言われた事を今急に思い出しちゃって…」
「何言われたの?」
絶対逃がさない、と言わんばかりのその鋭い視線にあっさりと負けた私は、恥ずかしながらも未央の言葉を口にした。
「……棗くんは、私に相当ベタ惚れだって」
すると棗くんは、私の発言に動揺したのかやたら大袈裟にその場で咳き込み、はー…と長いため息をついてからまた私を鋭く睨みつけた。
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