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「……あんたら、バカでしょ絶対」
「……はい、その通りです……」
恥ずかしい。
ていうか、恥ずかしいなんて通り越してる。
何でもかんでも口に出せばいいってものじゃない。
どうして本当、こんな醜態ばっかり晒しちゃうんだろう。
私は周りの誰もが認めちゃうくらい、棗くんにベタ惚れだけど。
棗くんが私にベタ惚れなんて、そんな事は絶対に……。
「まぁ実際…間違ってはいないけど」
「…えっ!」
「多分ね」
そう言って棗くんは、少し意地悪な笑みを浮かべた。
多分、でも私にとっては充分嬉しい。
棗くんは、私と違ってなかなか思ってる事を口には出さない人だから。
でも本当にたまに今みたく、私が舞い上がるような事を言ってくれるときがある。
そんな瞬間。
生きてて良かったって、心底思う。
棗くんに出逢ってから、まだまだ死にたくないって。
もっともっと、生きたいって。
強く、思うようになった。
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