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「もういい?写真、撮るよ!」
「ちょ…待って!やっぱりメイク直してくる!」
「そんなわざわざ写真一枚のために化粧直さなくても大丈夫だって!それに棗くん、純の泣き顔、結構好きなんでしょ?」
「………」
未央はスマホのカメラを私に向けながら、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
三月。
ついに私達は、卒業式の日を迎えた。
今日が、高校生活最後の日。
明日からはもう、高校生じゃない。
少しずつ大人になっていく事が嬉しくもあり、怖くもある。
でもやっぱり、嬉しい気持ちの方が断然大きかった。
棗くんとの年齢差はどうやったって埋められないけれど、高校を卒業する事によって、棗くんとの距離がまた少し近くなるような気がするから。
結局四月からも、学生である事に変わりはないけど。
それでも、『高校生』と『専門学生』の二つだったら、だいぶ扱いに差が出来るんじゃないかと私は思う。
棗くんも、私を子供扱いしないでくれるんじゃないかって。
大人の女性として見てくれるようになるんじゃないかって、少し期待してしまう。
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