エピローグ

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棗くんと付き合い始めて、二ヶ月が過ぎた。 ほとんど毎週土曜か日曜のどちらかは、お互い予定を合わせてデートを重ねてきた。 一緒に服を買いに行ったり。 映画を見に行ったり、ドライブしたり。 棗くんは優しいから、私が行きたいって少しでも興味を示した場所ならどこにでも連れて行ってくれる。 でもまだ、一番行きたい場所には連れて行ってもらえていない。 棗くんが生活している、家。 行きたいオーラをそれとなく醸し出しても、華麗にスルーされてしまう。 それに。 想いが通じ合えたあの奇跡のような日以来、棗くんはキスをしてくれなくなった。 私は好きな人と付き合うなんて初めての事だから、キスってどういうタイミングでするとか、会う度するものなのか、そういう細かい事がよくわかっていない。 本当はキスなんて、好きだからってそんな何度もするものじゃないのかもしれない。 ……でも、何でしてくれないんだろうって、やっぱり思ってしまう。 好きならキスしたいって思うのが、普通じゃないのかな。 さすがに私もそんな恥ずかしい事をサラリと口に出せちゃうほどバカじゃない。 だから、棗くんには絶対言えないけど、ちょっと不安がよぎったりもしていた。 キスしたいって思えるような、魅力がないのかな……。
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