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「ほら早くこっち向いて!もう撮っちゃうよ!」
「……お願いします」
パシャリとシャッターが切られ、私の最後の制服姿の写真がスマホの画面いっぱいに写し出された。
「可愛く撮れてるじゃん」
「……どこが可愛いの。涙目でめっちゃブサイクじゃん」
ブツブツ文句を言いながらも、未央が撮ってくれた私の写真を、棗くんに送信した。
本当はもっと可愛く写りたかったんだけど、卒業式では泣かないって思っていたのに結局クラスの女子みんなで大泣きしてしまって。
その結果、泣きすぎて目が腫れたブサイク写真を送るハメに。
クラスの男子はさすがに女子のようには泣いていなくて。
特に冬汰なんかいつもよりもサッパリした表情で、おまけに卒業式の間中眠そうにあくびを繰り返していた。
「でも棗くん、純にベタ惚れだよねー」
「ウソ、本当に?どの辺が?そんな風に見える?」
ベタ惚れされている感覚は……正直、あまりない。
いつだって私の気持ちの方が、棗くんの気持ちの何百倍も上回っているような気がしてしまう。
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