エピローグ

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「だってさ、卒業式の写真送ってって、棗くんからお願いされたんでしょ?」 「お願いっていうか……」 今朝、いつものようにバスの中で棗くんと会話をした。 そのとき、今日で制服姿も最後だー…なんて話していたら、『じゃあ最後に俺に写真送って』って。 でも自分の写真を送るなんて、なかなか私には恥ずかしかった。 絶世の美女とかだったら、躊躇いもなく何枚でも送れるんだろうけど。 だから、棗くんもスーツ姿の写真送ってくれるならいいよって提案してみたんだ。 そう言えば、シャイな棗くんなら絶対に『無理。じゃあ俺もいいわ』って断って話を流してくれる気がしたから。 でも棗くんは私の予想を裏切り、意外と粘ってきた。 『俺のスーツ姿なんかいつでも見れるじゃん』 『見れるけど、卒業したらもうこのバスに乗らなくなるから、そんな毎日見れなくなっちゃうもん』 『……わかった。いいよ』 『……え』 『だからあんたも。送って』 ……という感じで。
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