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未央曰わく、絶対キスしたくなるようなメイク…だったらしい。
でも、私はあっさりと玉砕した。
そのメイクで棗くんに会った日、棗くんは褒めてくれるどころか微妙な反応を示した。
『何、その顔。どうしたの』
『未央に最新のメイクしてもらったんだけど……変、かな』
『……いつもの方がいい』
……何をやっても空回りになりそうな気がして、もう何か小細工をするのはやめる事にした。
「今日の夜、棗くんと会うんでしょ?」
「うん。卒業のお祝いで、ご飯連れて行ってくれるって」
「楓パパ、よく許してくれたね。卒業式の夜は俺が純を祝うんだとか言ってこなかったの?」
「……棗くんには、ちゃんと本当の事言えって言われたんだけど、言ったら絶対ダメって怒られる気がしたから…クラスのみんなでご飯行くって嘘ついちゃった」
「うわ、パパかわいそー」
……うん、確かに、ちょっと罪悪感はある。
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