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【幻想GMC40代組の話2】
「斎」
「善ちゃん……何しに来たんだ」
「先生は家に行くなって言ってたし親にも止められたけど……あの、葬式の時のお前見てると……」
「そうか。でもなあ善ちゃん、それは気のせいだ。俺は大丈夫だよ」
大丈夫、と言っていた彼の目の下にはくっきりと隈があり、子供ながらに大丈夫じゃないのはわかった。よく見ると右手には無数の傷跡があり、それは慣れない左手で刃物か何かを当てた傷にも見える。本当に大丈夫なのだろうか。
彼の言葉を信用できないのは初めてだ。彼はいつも正しくあった。正直で、まっすぐで、運動もできて頭も切れる。そんな彼に、同じ少年ながら憧れを抱いていた。
「ああ、それとな、名前……浅間清太郎なんだ、これから」
え? と聞き返すと、「そういう決まりなんだ」と返される。清太郎は彼の父の名だ。何故、と頭の中で疑問がぐるぐる回ったがそれが言葉になることはなかった。
「よくわかんないけど、でも斎は斎だ。名前が変わっても」
手を差し出すと戸惑ったように右手を出しかけ、慌てて左手に変えた。私もすぐに左手に変えるとその手を掴んだ。
その後の再会は中学の入学式だった。目の下の 隈は取れていない。右腕には傷が増えていた。ああ、もう自分が知っている彼ではないのだとなんとなく思った。思っても、それをぶつけることはしなかった。それをぶつけるのは私のエゴであると思っていた。
なんとなく名前で呼ぶことができず、それからはずっと浅間で通してきた。彼もそれに何も言わなかったし、いつしか私のことを善ちゃんというのもやめた。
初めてその能力を見せられた時、私は怖いと思った。その力で家族を壊したと聞いた時はまるで彼が異形のように見えた。
しかし、横で見ていたもう一人の幼馴染は浅間の右手をしっかりと掴み、「おっ、手の甲だけなら問題ないじゃん」と言い放つ。浅間の瞳は明らかに動揺しており、彼はすぐに突き飛ばされたが。
その時感じた疎外感。浅間を信じていないわけではなかった。彼が――荻野 遥が嫌いなわけでもなかった。
☆
この幼馴染は
浅間→品行方正美男子→妖怪(顔の元は美形)
荻野→要領いい感じの明るいイケメン→裏表ある系支部司令(イケメン)
垣内→真面目堅物強面→真面目堅物強面
追記:荻野まとめだけど一言だけの登場ですまんな
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