再会

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 それから、そのビルに配達に行くたび、彰悟はなるべく青年と顔を合わせないように気をつけるようにした。 だが、青年は制帽を目深にかぶりただひたすら黙々と掃除をしており、 こちらに気付く様子もなかった。  しばらくして、彰悟は青年が度々トラブルに巻き込まれていることに気が付いた。 同じ制服をきた若者たちに絡まれているようなのだ。 同じ清掃会社の先輩らしき2,3人に囲まれ、凄まれたり、肩を小突かれたりしているのを何度も見かけた。 彼は低い落ち着いた声で何か反論はしているようだが、先輩達は最後には「後よろしくー」などとゲラゲラ笑いながらその辺にモップや掃除機を放り出し、 先に帰っていく。
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