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彰悟が大阪に来てからの日々は目まぐるしく過ぎていった。
正志は毎朝5時半に店へ行き、
6時に帰ってくる。
ずっと離れていた家族を優先するようとのオヤジの配慮により
早番のシフトだけ担当するようになった。
綾乃は慣れない家事に奮闘していた。
なにしろ生まれたときから家にお手伝いさんがいる生活だったのだ。
毎日の献立を考えてスーパーで食材を買うという普通なら誰でもしていることですら、母には初めての体験だった。
彰悟は大阪に来たのが学校の冬休みに入る時期だったので、
なるべく母を手伝った。
正志がいない昼間は二人で近所の探索に出掛け、
掃除機のかけかたを覚え、夕食の準備を手伝った。
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