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正志は自分の夢の話もしてくれた。 「僕はね、何年も彰悟の存在を知らなかった。 それまでは悲しくて綾乃さんが恋しくて、 体がクタクタになって何も考えられなくなるために、 がむしゃらに働いていたんだけど、 自分に子供がいるかもしれないと分かった時から全く働く意味が変わったんだ。 いつか、綾乃さんと彰悟と暮らせるようになったら、 小さくても自分の店を持ってオヤジのところみたいに店と住居を一緒にするん だ。 そして、四六時中家族一緒に居られるようにするってね。 だから、お父さん頑張ってお金貯めてきたよ。」 正志はにっこり笑う。 「でも、これは僕一人で考えていた夢だから、 二人の意見も聞かなくちゃね。」 「僕、それすごくいいと思う!一階がお店で二階が家なんていいなあ。」 「ええ、素敵ね。私も手伝いたいわ。 朝日堂では惣菜パンの具はおかみさんが作ってらっしゃるんでしょう?パン生地 を打つような力仕事は無理かも知れないけど 私もそんなふうにできないかしら。 おかみさんに私も弟子入りしちゃだめかしら?」 彰悟はなんだかワクワクしてきた。
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