ソレイユ

再会

彼は唇をかみしめ、放り出されたモップを睨み付けていたが、はっとしたように腕時計を確認すると慌てて掃除を再開する。

たぶん社員たちが出社してくる前には清掃を終えなければならないのだろう。

彰悟は複雑な気持ちで一人モップを掛け続ける彼を見ていた。

　ある朝、いつものように通用口近くの駐車場に店のバンを停め、商品を運び出していると、
例の清掃会社の男たちが喋りながらこちらへ歩いてくる。

「いやー、便利な奴が入ったよな、
今年は。」

「あいつ口答えするくせに、
『施設』って切り札出すとだんまりになって結局言うこと聞くもんな。」

「あいつ、深夜で河合食品の現場も入ってるらしいんすけど、玲さんから玉井達にいつもの呼出しがかかって、
横田のじいさんと二人でやらされたらしいっすよ。」

「それ、キッツイなー。」

彼らはワイワイ騒ぎながら、

彰悟の横を通り過ぎていく。

胸に灰色のもやもやした雲のようなものが湧いてくる。