突然の悲劇

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タクシーで駆けつけた病院では シャツに血を付けたメロディーのマスターと 手に包帯を巻いた花屋のおじさんが待っていてくれた。 残りの商店街の面々は目撃者として警察署の方で話を聞かれているそうだ。 正志は大量出血によりショック状態にあり、 緊急手術を受けている最中だった。 顔面蒼白になって震えている綾乃を座らせ、 マスターが話しはじめた。 「僕らは会合が終わって、 暑気払いの会場の居酒屋に向かって繁華街を歩いとったんや。 途中の路地で若い男女が4人ぐらいのチンピラみたいなんに囲まれとってな、 桂木君が助けたろって。 いらんこと首突っ込まん方がええんちゃうかって言ったんやけど 『だってあの子らうちの息子と変わらん年ですよ。 ヤバそうだったら警察呼んでください』ってな。 桂木君が割って入って、 その子らを人通りの多い方に押しやった時にな、 チンピラのうちの一人が急に奇声をあげて騒ぎだしてな、 突然桂木君を刺したんや。 慌ててみんなで止めに入ったけど、 既に桂木君何か所か刺されとって・・・ 救急車が来たときにはもう意識が無いように見えた。」 沈痛な面持ちでマスターが口を閉じる。
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