父と母の悲恋

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「ただいまー。 もしかして兄貴もケーキ消費要員連れてきたの?」 「あら、おかえり。そしていらっしゃい。 晴香ちゃん、ケーキ消費要員ってひどくなあい?」 と向かいに座っていた晴香の母がぷうっと膨れてみせる。 「違うよ、母さん。 僕たちは母さんのケーキを自慢したくて友達を連れてきてるんだよ。」 晴香の兄が笑って言う。 「そうですよ、おばさん、 本当に美味しいですよこれ。 店で売ってるやつみたいです。」 兄の友だちも相槌をうつ。 「おまえ、ケーキなんて 殆ど食べたことないっていってなかった?」 兄がにやにやわらいながら突っ込むと 「いや、そうなんだけど・・・」と頭を掻きながら 「でも、これがすごくうまいのは本当ですって。」 とへにゃりと笑う様子にみんな笑った。 「晴香、そこの美人を紹介しろよ。 こいつはおれの高校のバスケ部の時の友達。」 「桂木正志です。」 背の高い男はぺこりと頭を下げる。 「あら、桂木?」 晴香が綾乃の方を見る。 綾乃が名乗ろうとしたとき 「僕、君の事は知ってるよ。」 と、正志がはにかみながら言ったのだった。
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