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家でも会社でも誰にも口答えなど許してこなかった勝造は
娘の態度に怒り狂う。
しかし、この縁談は何としてもまとめねばならない。
勝手を許すわけにはいかないのだ。
折に触れ、勝造は見合いの話を綾乃に詰めたが、
綾乃は頑なに拒む。
正攻法では埒が明かぬと察した勝造は
「お前には分からんだろうが、
繊維業界は厳しい状況におかれておる。
会社のためにも山城家と繋がれれば安泰であるのだ。」
「ええ、分かりません。
お父様方のお仕事の失敗をなぜ私が尻拭いしなければならないのです?
お父様は私をお売りになるということですか?」
「お前には桂木の娘としての役割があるだろうが!」
「でしたら、私は短大を辞めて、
お父様の会社で無償で働いて協力させていただきますわ。」
「口答えをするな!」
最後は勝造が怒って終いとなることの繰り返しだった。
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