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｢ああ、だから取り敢えず俺と息子か娘でもつくるか｣
｢何言ってんの、馬鹿じゃないの｣
｢毎日毎日、俺は生と死の間の生活で
子孫残さねぇとって生殖本能が疼いてんだよ｣
｢やめてよね、そういう目で私を見るの｣
｢ハアーっ
俺はもう何年もお前の事そういう目で見てんのにな｣
｢知らないし、卑猥、さいてー｣
｢俺って本当に一途だよなー｣
顔を上げて軽い口調で話す男をジト目で睨む
男はそんな私の視線を交わしてコテりと寄りかかる
雨とそれから男の匂い
はあ、と小さく溜め息を零す
いつからこんな男を感じさせるようになったか
いつからこの男の足音を声を待つようになったか
いつから暖かいこの男の人肌と重さを心地よく思うようになったか
ああ、気付かぬ内に
必然のように私に巻き付く
この男の全て
｢こんな町じゃ子供は産めないわ｣
｢あ？｣
｢産めたとしてもろくなご飯も食べれないのに
ミルクも綺麗な布も無いじゃない｣
｢それもそうだな｣
ニヤリと男は笑って
私の伸びた髪を指で救う
｢なら孫が見てぇと年老いて寿命が来るまで生きればいいんじゃね｣
｢アンタもね｣
｢これがツンデレってやつか｣
｢はあ？何言ってんの
いつ私がアンタにデレたのよ｣
｢ま、ま、照れるなって｣
｢うざい｣
男は私の髪を軽く引っ張って
それに身を委ねた私は目の前にきた男の瞳を見つめる
コツンと額と額が合わさって
フッと小さく笑った男の息が私の口にかかる
｢町が子供産めるようになるまで避妊しねぇとな｣
｢おいムードクラッシャー、アンタさいてー｣
｢俺とお前にムードもへったくれもあるかよ｣
そして二人の息が交わった
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