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――そうだ、
いつも彼女は真剣だった。
「……って、聞いてる?」
恵理子が正樹の顔を覗き込んで言う。「この子を還すの」
「あー、うんうん、ちゃんと聞いてたよ」
ホントかなぁ、と恵理子が疑ってかかる。いつの間にか恵理子の足元にしゃがんでいた男の子も、「ホントかなぁ」と彼女の口調をまねして言う。
「ちょ、本当だって。となり町の神社まで俺たちが連れて行くんでしょ?」
「あれ、聞いてた」
だから言ったじゃん、と正樹が苦笑交じりに言うと、恵理子は男の子の手を軽く握った。
「じゃ、行こっか」
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