半にゃライダー 3

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街にあるおみやげ屋、触蚊屋マーケット・ゴールドコースト支店で、三人の日本人高校生が買い物をしていた。三人は修学旅行でオーストラリアに来ていた。 最近の高校の修学旅行は、海外に行くのが主流となっていて、その中でもオーストラリアは人気が高いらしい。時代も変わったものだ。 「あ、これ、不良品だ。瞬、ここ見て」 祥吾が今買ったばかりの羊のぬいぐるみを見せる。 「本当だ。ほつれてる。取り替えてもらいなよ、祥吾」 「俺のブーメランも傷んでいる」 成太郎もそう言うので、三人は触蚊屋マーケットに戻った。店員に交換を頼むと、引き換え手数料として商品以上の金額を請求された。そこでぼったくられたことに気づく。 周りをよく見ると、店には同じように不良品を買わされ、文句を言いに来た客でごった返していた。 「うるさい。安物好きのあんたたちが選んで買ったもの。こちらに責任はない!」 「不良品をうまくごまかして売っていたくせに。詐欺だ!」 「どうしたマネージャー」 「あ、支店長。客が・・・」 なんとそこに現れたのは、小和田元常務。支店長は支店長でも、触蚊屋マーケットのゴールドコースト支店長だったのだ。 「お前ら客は、黙って金を払えば良いんだ! 触蚊ルー、出て来い」 小和田支店長がそう叫ぶと、なんと店にあったカンガルーのぬいぐるみたちが「ルー」と言って動き出し、片っ端から客に触蚊ルーパンチを浴びせ始めた。 客たちがルーパンチの攻撃を受け、次から次へと倒れる。その倒れた客から、店のマネージャーが財布を盗み出し、現金もカードもどんどん金庫に入れていく。 「「「やめろぉー!!!」」」 祥吾・瞬・成太郎の高校生三人組だ。それぞれブーメランを手に果敢に触蚊ルーにたち向かった。 「ルー」 「ひ」 「ルー」 「で」 「ルー」 「ぶ」 けれども、地獄の軍団・触蚊ルーの前では簡単にやられてしまった。なけなしのお小遣いの入った財布が取られてしまう。こんな青春ってアリなのかと絶望しそうになったその瞬間。 「こっちを見ろー!」 おおお。満沢だあ。なぜかサーフボードに乗って登場だあ。(どうしてサーフボードに乗っているかは、突っ込まないでくれだあ。)ボードの先には、ちょこんと乗っかるナオキがいるだあ。
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