02 サクラサク

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 後悔した。何故あんな約束をしてしまったのだろうか。  あの子が手伝ってくれたなら、確かに心強い。実力は申し分ない。経験不足は私がカバーすればいいし、何の問題もないように思える。  ――そうではないのだ。問題は、そこではない。  私のしでかした禁忌を、あの子は受け止められるだろうか。受け入れてもらえるだろうか。  拒絶されても仕方がない。それだけのことを私はやった。軽蔑されても何も弁明出来ない。それだけのことを私はやった。  退学より何より、他人に知られることを恐れていた。誰かに弾劾されることを、恐れていた。  あの子は多分、単純な善意で言ってくれたのだろう。 「(だけど)」  真実を聞くことで、あの子は多分、酷く後悔することになるだろう。  何よりもそれが心苦しかった。  日が昇ろうとしている。明日が、来てしまう。
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