プロローグ

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 左目に風穴が空いている。  後頭部は弾丸の勢いに負けて大きく花開いている。  あなたは思うだろう。  今のは偶然なのではないかと。  次の人間の左目に銃口を押し込み、あなたは引き金を引く。  また綺麗に死んだ。  ここだ。  この近くに意識がある。  人が人であるために必要なモノがある。  少なくとも、意識を消滅させてしまうメカニズムの欠片がここにある。  あなたは銃口を次の左目に押し込むだろう。  左耳の方に銃口を傾け、引き金を引く。  左目から左耳にかけて頭部がエグれた。  しかしその人間は痛みでもがいている。  外した!?  じゃあ右耳に照準を合わせればどうだ?  あなたは顔を半分ほど失った人間の手をどかし、目玉が潰れて少し空洞になった左目に銃口を突っ込み、右耳目掛けて引き金を引く。  右目の奥をかすめ、固く閉じていた右目が開き、黒目が歪に回った。  右のこめかみから弾丸は飛び出し、その人間は嘔吐するように叫んだ。  右耳を外した……今度は外さない。  あなたはそう思うに違いない。  三発目にして、右耳も飛び散り、人間も動かなくなった。
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