プロローグ

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 先程までとは違った意味で動揺していると、そんなエルセフィーナの様子を見て勘違いしたらしく、ファルス公爵アルテスは、若干憤りながら彼女に言い聞かせた。 「随分怖い思いをしたね。でも、もう安心しなさい。君の弟から簡単に話は聞いたが、ハーグマンは元から評判が良くない男でね、私もこれまで水面下で色々調べていたんだ。ここで出会ったのも何かの縁。借金の事も悪い様にはしないし、きっちり始末をつけてあげるよう」  急転直下の話の流れに、エルセフィーナの両眼が限界まで開かれる。 「……本当ですか?」 「ああ。その代わり、君のご両親には相当説教する事になるとは思うがね」  そこでアルテスが苦笑いしたのに釣られて、エルセフィーナは満面の笑みで礼を述べた。 「はい! ありがとうございます!!」 「いい返事だ」  そして満足そうに笑って自身の頭を優しく撫でてくれたアルテスに、今後一生忠誠を誓う事を、エルセフィーナは心の中で誓った。
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