1、終

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「相変わらず、いつも道理泣かないし涙ぐみもしないよね」 同級生の真琴が言った そんなことを言われても自分はどうしたらいいのかなんてわからなかった なんとなく困ったようなそんな感じの顔をしてごまかす 気を抜くと泣いてしまいそうで 「優希泣かないの?」 「先輩達が泣けなくなっちゃうから」 少しだけ離れたとこにいる後輩たちの会話 唯一試合に出た後輩の答え 大人だなって思った そんなことが言える人に思える人になりたい ぼんやりと先輩たちの輪を見つめる 晴れやかでも悲しげでもある雰囲気 先輩のうちのひとりと目が合う こっちに来る そっちに行く こらえられない 「桜花先輩」 しがみつく 涙が出てくる 「任せてごめんな」 そのことを言わせてしまったのが悲しくて悔しくて 感情の、堰が切れて泣きじゃくる 「ごめんなさい」 「決められなくてごめんな」 一つ前の打者の先輩 怖かった あの時も今も ずっと怖くて仕方なかった 本当に久しく泣いた 泣かないって思っていたのに そんなこと言われたら 言わせてしまったら
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