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「あ、あ、あの……」
何やらオドオドした様子で、ルテアさんが僕に話しかけてきました。
「し、白井さんは、宇佐見さんの……お友だちですか」
「はあ、まあ……そうです」
「わ、わたし、どうしたら……帝都に戻らなきゃいけないんですけど……原石を返してもらうために……何かサインを書いたんですけど」
僕は友人の鞄を取り上げると、中から『雇用契約書』という名の『愛人契約書』を見つけ、それを破り捨てました。
「ルテアさんは、見たところお若いですね。おいくつですか?」
「じ、十五歳です」
「この地上では、未成年者の契約行為は監督者の同意がなければ有効にはなりません。そもそも、この虚偽の契約書が違法です。問題ありません、大丈夫です」
ルテアさんは、ようやくホッとした顔を見せてくれました。
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