第1章

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「わたしも、あなたの声が……好きよ」  心の奥にまで染み込んできたあなたの熱は、今も、わたしの心のなかで揺れ続けている。  だからわたしは、そっと耳元にイヤフォンを添える。  再生を続けていたプレイヤーから、彼の声がよどみなく流れ続ける。  何度も何度も繰り返し聴いた、彼が残した熱の欠片。  それを聴きながら、わたしは、彼が別れ際に言った言葉を想い出していた。  ――聴き続けてくれ、とは、お前には言わない。だけど、聴き続けられる曲と歌を、俺は残したいんだ。  ならば、せめて……わたしは、そのあなたの想いを、覚えておこうと想う。  わたしだけにあなたがくれた、かけがえのない熱を抱きながら。
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