第1章

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「まあ、あれはあれでアリかなと思ってたしな。もともと科学っていう括りが大雑把すぎたんだ。集まってみると全員の興味はてんでバラバラ。そう考えると無理に一つのテーマを追求するよりかは個人で研究を進めたほうがいい」  カエルの様子を気にしつつ芳樹は諦めろと暗に言う。こうしてカエルを愛でられる環境があっただけでも良しというところだった。そうでなければ一人で黙々とカエルを追い駆ける高校生活だっただろう。 「そうだよな。科学部のメンバーって行きつくところに行きついてしまった連中の集まりだからな。将来は全員が研究者を志望しているという志は高いものの、分野が違いすぎるんだ。みんなで一緒に何かしましょうって柄でもないだろう」  まったくフォローしない莉音である。莉音も惑星の内部を考えることに集中し過ぎて周りから変人のレッテルを貼られている。どうにも自分と周りは違うとの自覚はあった。 「それが続くなら問題ない。俺だって自らの興味を希求することで精一杯だ。しかし今年の新入生はゼロ。来年も続けば部員がゼロになり廃部。これは避けるべき事態だろう。代々変人と孤立していた人々が集っていた場所だ。この愛すべき変人憩いの場を消していいものか」  全く以て非協力的は二人を前に、チーズバーガーを食べ終えた亜塔は吠えた。自ら変人を全力で肯定してしまったり、あまつさえそれを憩いの場と言ってしまう奇妙さには気づいていない。 「まあまあ。科学部の連中が学校で浮いた存在だというのは解っている。俺も引退して部活に行かなくなるとそれが身に染みて解って辛いところだった。だから協力はするって初めから言っているだろ?」  うるさい亜塔を宥める芳樹の言葉は切なかった。ただでさえ学校に居場所がないのにファストフード店を出入り禁止になっては堪らない。 「すまない。つい興奮して」  亜塔も周りの冷たい視線に気づいて謝った。
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