しらない場所、知らない人

3/10
前へ
/21ページ
次へ
「ねーねー。僕の話も聞いておくれよー。なんならひとつ言うことを聞く券もあげるよー」 では外国にいつの間にか来た…ということだろうか? いや、それには無理が……だが 可能性はゼロではないか… それとも…… 「もしもーし、お嬢さーん? ねーねー」 …… うるさい。 いうこと聞く券ってなんだ。小学生か。 葉月はイライラしながらこの場所について改めて考える。 「お嬢さーん、僕の声聞こえてるかなー?」 ……が、目の前の男の声のせいで考えることができなくなった。 「うるっさい!!」 我慢できずに、葉月はついに声を荒げて怒鳴ってしまった。 その姿に男は「わー怒った―」と軽い口調で言う。それは小学生のように。 その態度が葉月のイライラを増幅させていく。 それでも葉月は二度の失態は犯さず、冷静に、落ち着いて声を出した。 「……なにか御用でも…?」 声を抑えながら葉月は言う。 「なにか御用でも?じゃないよ!僕の話を聞いてほしいんだ!まず僕の日常から始まり、僕の食事、起きる時間から寝る時間まで全てを!」 ドドンッという効果音がつくような威張りようだ。 エッヘンと笑いながらいる男に一歩引きながら 「興味ない」 葉月は一刀両断した。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加