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「ううう……ひどい…僕はただ僕のすべてを知ってもらいたいだけなのに……」
顔を手でおおい、しゃがみこんだ男に葉月は顔をしかめずにはいられない。
……変人か……
それも超がつくほどの。
葉月はそれを理解した瞬間、今すぐこの変人と離れたいと思った。
背を向けしゃがんでいる男を見る。
今も顔を手でおおい、しくしく泣いている。…嘘泣きと一瞬でわかるが。
__いける。
葉月は落ち着いて、ゆっくりと音を立てずに下がる。
あと数歩のところで家の壁。そこに身を隠して、走れば……逃げれる!
あと一歩、というところで、葉月に不運が見舞われた。
……こけたのだ。
ドテッと音を立ててこけてしまった葉月は最悪だ…と思いながら、地面にぶつけたお尻をさすりながら、そーっと変人の方へ目を向ける。
変人はウソ泣きをやめ、しゃがんだ姿でこちらを見ていた。
なんだろう、すごく恥ずかしい。
葉月は心の中でただそう思った。
何があっても何してるの?なんて聞かないでほしい。答えられなくなるから。すごく恥ずかしいから。
葉月は変人を見てそう念じた。
だが、その思いははかなく消えさり、
「何してるの?」
変人は私にただそう聞いた。
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