2人が本棚に入れています
本棚に追加
ああ……
何で言うの…
恨めしい気持ちになるが、気持ちを静めて、一人で何もないところで転んだ言い訳を考える。
そして挙句の果てに、
「……ネズミが通ったから驚いて転んだだけよ」
と、よく分からない言い訳を葉月はする。
「ネズミ!?どこに!?」
変人はネズミと聞いて目を輝かせる。
「え、あ、あっちに走って行ったわ」
葉月はとっさに右を指して言う。
変人はその方向を見ながら、「あーあ、もういないか……」とつぶやいていた。
……ごまかせた…
葉月は静かにホッと息をはく。
「でもこんなところにネズミなんていたかなぁ」
うーんと唸る変人の言葉にドキリとしつつも、
「ネズミくらいそこらじゅうにいるわ」
と、ごく自然に、動揺せず言った。
「うーん、まぁいっか!それよりお嬢さん!!」
ズイっと近づいてきた変人に一歩引きながら「……はい?」と返事をしてしまった。
「どうしてここに?」
最初のコメントを投稿しよう!