しらない場所、知らない人

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その言葉は、葉月が一番知りたい答えだった。 「……知らないわ……」 そして葉月がはなったその言葉はひどくそっけなかった。 「…うーん、ここは初めて来る?」 変人は続けて葉月に問いかける。 「……そうね、見知らぬ町並みだわ」 周りを見て、葉月は答えた。 「じゃあ、家もないんじゃない?」 …… 「なんで家が必要なの?」 変人の言う意味が分からず葉月は首をかしげた。 「え?野宿するの?」 しかし、逆に聞き返された。 「そうじゃなくて、なんで住む前提みたいな話になってるのって意味なんだけど」 そういうと、変人はんん?と葉月のように首をかしげた。 「だって、元の世界に帰れないでしょう?」 ……あ! 葉月は気づいたように目を見開いた。 「そうか……どうしよう……」 口元に手を当て、葉月は呟いた。 ここのお金だってないってことは……ホームレス!? 野宿……いや、その前にご飯が食べられなかったら餓死の可能性 も…… 最悪の場合を考え、葉月の顔は青くなっていく。 「と!! そこで、僕から提案があります!」 変人はニヤリと笑い、葉月を見て、言葉を続ける。 「僕の家に住みませんか?」 ……What?
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