しらない場所、知らない人

9/10
前へ
/21ページ
次へ
「……私に家政婦の仕事をしろって?……けど、家事なんてほとんどできないわよ、私」 葉月は笑っている変人にそう言った。 「いやいや、家政婦ぐらいにすごいことはしなくていいんだ!ただ手伝ってくれるくらいでいい!どうかな?」 正直、すごく怪しいし、信じられるものではない。 ……が、知らないところで野宿も考え難いものだ。 どうするべきか…そう悩んでいるところに、決定的な言葉が耳に届いた。 「お金も用意するし、もちろん住み込みでOK!悪くない案だとおもうんだけどなぁ…… それとも…… 怖いの?」 ニヤリと変人にそう聞かれた瞬間、葉月はバッと前を見た。 「怖いですって?まっさか!そんな筈ないでしょう?もちろんやるわ」 葉月はムキになったようにそう言った。 「良かったー。僕の家、今本当にやばくって。これで安心だ」 さっきの笑顔とは別に明るく笑って言った変人に、乗せられた…と本気でイラつきつつ、葉月は気になっていたことを尋ねることにした。 「あなた、名前はなんていうの?」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加