序章 HazyMoon

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来た道を憶えているだろうかというほど、コンクリート街を曲がりくねる。 やがて、森のなかから抜けだしたように視界が広がった。 道路の向こう側には公園があった。 植樹された緑の連なりはやはり森のように見えたが、コンクリートのような無機質さはなく、ライトアップされていて幻想的だ。 言葉もはっきりしない雑音にすぎなかった声は、笑い声に様変わりする。 幻想的な様は油断を誘う囮(オトリ)ではなかった。 あとは散るだけという桜を口実にした、無味乾燥な集まりにすぎない。 もっとも、罪人を待つ門番たちのざわめきではない、という保証はない。 そうであってもかまわない。 むしろ、そうだったらいいのにと思う。
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