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スーパーを出て、私の家とは逆の方向へと進んでいき15分ほど歩いて。
棗くんの足が、あるマンションの前でぴたりと止まった。
「ここの、3階」
「………」
ついに、到着してしまった。
行きたくて行きたくてどうしようもなかった、棗くんが住んでる家。
RC構造の、4階建ての小さなマンション。
そこの、角部屋。
301号室。
「ごめん、エレベーターないから階段だけど」
「うん、大丈夫!」
スーパーで買った荷物は、全て棗くんが持ってくれていた。
階段を駆け上がっていく棗くんの後を、ちょこちょこ追いかける私。
いつもなら、階段ってちょっと疲れるなって思ったりもするけど。
今回ばかりは、疲れるだなんて言うはずがない。
どこまでも、上って行けそうだよ。
「言っておくけど、別に面白くも何ともない部屋だよ。ワクワクしてるとこ悪いけど、本当普通だから」
「別に面白さを期待してるわけじゃないから、気にしなくて大丈夫だよ!ただ、棗くんが普段生活してる場所を見たいだけだもん」
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