近距離バトル、勃発-2

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「俺はどうせ勝負を持ち掛けるなら、わざわざ部長の得意なチェスじゃなくて、梶真の得意なバスケとか絶対勝てそうなやつにすればって助言したんだけどさ、それじゃフェアじゃないからとかわけわかんない事言い出して」 「………」 「で、最近は仕事の後梶真の家に俺がわざわざ行って特訓してあげてたわけ」 「……そうだったんですか……」 そう言われれば最近棗くん、平日の仕事の後はメールの返信が遅かったり、電話に出なかったりしたときが何度かあった気がする。 単純に、忙しいんだろうなって思って納得していたけれど。 まさか、そんな特訓をしてくれていたなんて。 ……棗くん、そんな事一言も私に言わなかった。 「純ちゃん、ほんと梶真に大事にされてんね」 「……はい。大事にしてくれてると思います」 好き、とか、そういう言葉がもっと欲しいと思った事は何度もある。 でも、大事にされていないだなんて本気で思った事は多分ない。 初めての恋だから、些細な事でも不安になってしまう私。 だけど棗くんに会えば、そんな不安なんていつも簡単に吹き飛んじゃうんだ。
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