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「私も、毎週会いたいって思ってるよ。棗くんの事大す……」
大好きだから。
いつものようにそう言おうとした瞬間、この間未央に言われた言葉を思い出した。
やたらと好き好き言ってくる人は、信用出来ない。
今はそれを可愛いと思ってもらえていたとしても、それがいつまでも続くはずがない。
好きってしばらく言うなって言われていたのに……危なかった。
「……棗くんに会うと、元気がもらえるから」
大好きな気持ちを、別の言葉に置き換えてみた。
すると棗くんは、何故かふっと笑って私の頬を軽くつねった。
「今度は何を企んでんの」
「え」
「親友二人に何かそそのかされた?」
「……」
「ま、いいや。多分それ、長くは続かないだろうから」
そして棗くんは、全てを知っているかのような余裕の笑みを浮かべながら、視線を私からテレビへと移していった。
「………」
何か、よくわからないけれど。
多分、棗くんは。
私が思っている以上に、私の事を知り尽くしている……気がする。
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