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「だって冬汰の部屋とか、凄いんだよ。床の上にマンガとか散らばってるし。ペットボトルとか落ちてるし、お菓子の袋だって置きっぱなしのときあるし」
「…へぇ」
「ちなみに私の部屋も、ここまで綺麗じゃな…」
「純。キッチン、使っていいよ」
「あ…はい!」
そうだ。
私は今日、和食が食べたいという棗くんのリクエストに応じるためにここにやって来たんだった。
……危なく、本来の目的を忘れて棗くんの部屋見学ツアーになるところだった。
手をちゃんと念入りに洗ってから、今日スーパーで買ってきた材料を袋から取り出していく。
豚肉、じゃがいも、にんじんに玉ねぎ。
それから白滝。
材料を目の前に並べていき、頭の中で料理のシミュレーションを開始。
肉じゃがを作る前に、炊き込みご飯の味付けをして炊飯器をセットして……。
「待っててね、棗くん!すぐに作っちゃうから」
「いや、そんな時間急がなくても…」
「ダメだよ、一日中一緒にいれるわけじゃないんだから。なるべく料理は手際よくパパッと済ませちゃわないと」
そして残った時間で、棗くんとの時間を楽しむんだ。
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