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「そもそも勝負を持ち掛けてくる事自体間違ってるんだよ」
「でも部長、結構ノリノリだった気がするんですけど…」
「別にノリノリだったわけじゃない。たまたまチェスをやりたかったから、誘いに乗ってやっただけだ」
「そうなんですか?」
「とにかく!梶真には悪いけど、俺はそう簡単に認めないよ二人の交際は」
そう言い捨てて、部長はそのまま俺の前から去って行った。
俺を睨みつけるその目は、最初彼女の恋人として自己紹介をしたときと少しも変わっていなくて。
……やっぱり長期戦を覚悟するしかないと改めて思い知らされた。
「うわ、思ってたよりすげぇ面倒くさいね部長」
気付けば俺の真後ろには、関が立っていた。
多分コイツも俺と同じように休憩室から出てきたところなんだろう。
この状況を誰よりも面白がってるヤツに、見られたくはなかった。
「もうさ、この際いいんじゃない?認めてもらえなくても」
「……いいわけないだろ」
認めてもらえなくてもいい。
そんな選択肢は、俺にはない。
「ていうか別に純ちゃんじゃなくてもいいじゃん。他に女はいくらでも…」
「俺はあの子がいいんだよ」
あの子じゃなきゃ、ダメだ。
自分の心は、もうとっくに純以外の異性に対しては動かない。
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