素直な彼女の、一途な思惑

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関はその後も、何でそんなに純がいいんだとしつこく聞いてきたけれど、それは無視して俺も自分のデスクへと戻った。 また社内で部長と遭遇したら、避けられる事を承知で純との交際の話に持ち込もうと思っていたけれど。 結局この日、部長と顔を合わせる事はなかった。 「友達、出来た?」 「うん、出来たよ。入学式のとき隣に座ってた茜ちゃんと、教室で私の前の席に座ってた絵理香ちゃん。それから右隣の席のノンちゃん」 「へぇ、もう友達出来たんだ。さすが、早いね女子は」 「みんな本当に話しやすい子ばっかりでほっとしてるの。これから毎日学校行くの楽しみだよ」 電話の奥の彼女が嬉しそうに笑う。 たったそれだけの事で、癒された気になっている自分に気付く。 電話だと、顔が見えない分、その声で彼女の顔を想像する。 多分今は、電話なのにも関わらず身振り手振りで新しい学校の話をしてくれているんだろうなと思うと、それだけで笑いが込み上げてきた。
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