素直な彼女の、一途な思惑

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「何で笑ってるの?」 「や、別に。良かったじゃん新しい学校に馴染めて」 「うん。今まではね、冬汰と未央が傍にいたからその繋がりで友達が増えてったんだけど…ほら、私人見知りだから、あんまり自分からグイグイ話しかけれなくて」 「へぇ。でも俺にはグイグイきたじゃん」 「え」 「でも今ならわかるよ。あんたの人見知り」 初めは、突然名前を聞かれた事もあって、凄い積極的な子なんだと思っていた。 そんなに喋った事のない間柄なのに、好きな食べ物やよく聞く音楽とかプライベートな事を沢山質問されたし。 だから、この子は誰にでもフレンドリーで、誰に対してもオープンな子なんだとばかり思っていた。 でもその印象は最初だけで。 徐々に親しくなっていく中で、本当の彼女の姿が見えるようになっていった。 人の話は聞きたがるけれど、自分の話は滅多にしてこない。 壁がないようで、実は凄く分厚いバリアを張っている。 誰に対しても積極的なわけじゃない。 彼女は、俺を好きになってくれたから。 だから、俺にだけは積極的に話しかけてくれたんだと、後になってから気付いた。
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