素直な彼女の、一途な思惑

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「……人見知り、直したいんだけどやっぱりなかなか直せなくて。未央とか羨ましいもん。全然人見知りしないから」 「別にいいんじゃない?そのままで」 「……そうかな」 「あんたは今のままでいいよ」 今のままでいい。 この先、年を重ねて大人になっていっても。 変わらないでいてほしい。 きっとこの先社会に出たら、嫌っていうほど大人の汚い心の一面を知る事になるだろう。 それでも彼女には、汚れてほしくない。 いつまでも、純粋なままで。 真っ直ぐなままで。 ……俺にとって唯一の光でいてほしいと願う。 「でも私は早く大人になりたいな」 「何で?別に早く大人になっても良い事なんか何も…」 「だって早く棗くんに追いつきたいんだもん」 「………」 とっくに追いついてるだろ。 むしろ、いつかその内追い越されそうな気さえする。   それくらい、夢を追いかける彼女は俺にとっては眩しすぎる存在だから。
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