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「そういえばね、来月クラスの親睦を深めるためにレクがあるんだって」
「へぇ。どこ行くの?」
「詳しくはまだ聞いてないんだけど、日帰りでバスで出掛けるんだって。隣の席の小嶋君とか、来月の事なのに凄いテンション上がっちゃって今から張り切ってた」
「……さっき隣の席、ノンちゃんって言ってなかった?」
「あ、ノンちゃんは右隣なの。で、左が小嶋君」
「……あ、そ」
別に隣の席のヤツが男だろうが女だろうがどっちでもいい。
ただ、彼女の口から他の男の話を聞くのはやっぱり良い気はしなくて。
自分の器が小さすぎる事にげんなりしながらも、反射的に素っ気ない返事をしてしまっていた。
でもこんな事、絶対口には出したくない。
こんな些細な事にまで嫉妬するなんて、あまりにもカッコ悪すぎる。
「棗くんは?仕事、忙しい?」
「え?あー…、まぁ、普通かな」
「今年も出張いっぱいあるのかな」
「多分昨年と同じくらいはあると思うけどね」
そう返すと、彼女はあからさまに残念そうに溜め息を零した。
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