素直な彼女の、一途な思惑

6/40
前へ
/40ページ
次へ
「学校始まったら、今みたいに毎週会えるとは限らないじゃん?新しく出来る友達との付き合いもあるだろうし」 「……それは…」 「それに。どうすんの?純ちゃんに新しい出会いがあったら」 新しい出会い。 確かに環境が変われば、周りの人間関係も変わっていく。 「でも純の行く学校は…」 「今って看護師目指す男、増えてるらしいよ」 「………」 関は俺の不安を煽って楽しもうとしてるんだろうけど、その作戦には乗らない。 看護師を目指す男が増えているとはいえ、きっと女の人数の方が相当多いはず。 心配する事なんて一つもない。 「意外と年上より同年代の男の方に惹かれちゃう事もあるかもね。それに、同じ夢に向かって一緒に頑張ってたら、何かと息も合うだろうし」 聞こえないフリをするのが一番良い。 そう決めて視線はテレビに向けてみたけれど。 ……耳には、やたらと耳障りな言葉ばかり入ってくる。 「余裕ぶってられんのも今の内かもな。長期戦だなんて言ってられない事態に陥ったりして…」 「うるさい。黙れ」 ……余裕なんか、最初からないし。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

499人が本棚に入れています
本棚に追加