素直な彼女の、一途な思惑

7/40
前へ
/40ページ
次へ
嫉妬の対象なら、最初から存在している。 彼女の幼なじみの、霧島冬汰。 彼女の方は当然彼の事を異性として意識していないから、俺達が付き合い始めてからも平気で彼の話をする。 俺と出会う前からの関係だとわかっているから、その関係に口を出すようなみっともない真似はしたくない。 でも。 彼女と付き合い始めて、初めて知った。 自分が意外と嫉妬深い事を。 今までの俺は、相手がいる女性にずっと想いを寄せていたから。 だから、普通に恋人同士が抱き合うその嫉妬の感情を知る事はなかった。 だけど純を好きになってからは。 彼女を独占したい気持ちが日に日に募っていく。 いつも無条件に俺を癒やすあの笑顔を、他の男には見せたくない。 見せないでほしい。 新しい世界へ飛び立とうとする彼女を応援したい気持ちとは裏腹に、どこにも行ってほしくない想いが芽生えてくる。 ……自分の目の届かない場所には行かないでほしいだなんて、これじゃまるで過保護な部長と同じだな。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

499人が本棚に入れています
本棚に追加