ラインを越える、一歩手前

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今すぐ、笑ってる顔が見たい。 顔を見てもう一度、ごめんって謝りたい。 「……今、どこにいるの?家?」 「あ、うん、家にいるよ!」 「今から会える?」 「……」 「……会いたい」 声を聞けば、顔を見たくなる。 それはきっと、相手が好きな人なら当然の事。 会いたいって口にしてしまうのも、相手が純だから。 どれだけカッコ悪くても、我慢なんて出来そうになかった。 「わ…私も…」 「うん」 「棗くんに会いたいです」 「……うん。じゃあ、今から…」 するとそこで会話を遮るかのように、俺の傍にいた犬三匹が急にワンワンと一斉に吠えだした。 会話に夢中で完全に忘れていたけど…そういえば実家に帰ってきてたんだった。 「……何か…犬の鳴き声が聞こえるけど…」 「あー…、実は今、実家に帰ってきてるんだよね」 「えっそうなの?じゃあ今の犬の声って、あのポメラニアンちゃん達?」 「そうだよ」 「鳴き声も可愛いね!写真でしか見た事ないけど、ナマで見たらきっと写真以上にめちゃくちゃ可愛いんだろうなぁ……」
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