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「本当はいつもみたいにお盆の時期に帰ってくるつもりだったんだけど、今年は仕事忙しいから夏休みずらしたの。ていうかさ、あんた何なのその不満そうな顔は。私が帰ってきたらそんなに嫌なわけ?」
「……面倒くさ」
聞こえるか聞こえないかぐらいの本当に小さな声で呟いたつもりだったのに、地獄耳の姉には聞こえていたらしく。
思いっきり背中にキックが入った。
「いって…!幸、お前ふざけんなよ…」
「ふざけてんのはどっちだよバカ」
「ちょっとあんた達…止めなさいよ彼女の前で。怯えちゃってるじゃない」
母のその言葉で、ふと純の方に視線を移すと。
確かにその顔には、不安の色が浮かんでいた。
すると幸も俺と同じように純に視線を移し、彼女の事をジロジロと見回しながら純の方へと近付いて来た。
「それにしても純ちゃん、お肌ぴっちぴちじゃない?歳いくつなの?18?19?」
「あ…えっと、今年19になりました」
「うわ、本気で未成年なんだ。いいなー19歳って最高に楽しい時期でしょ。私もその頃に戻りたーい」
幸の必要以上の絡みに戸惑いながら、彼女は苦笑していた。
とりあえず、このままここにいたら幸が何か失礼な発言をし始めるに違いない。
その前に、純を連れてここから出て行かないと。
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