ラインを越える、一歩手前-2

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するとそこで、犬三匹がご飯を食べ終わり、きゃんきゃん鳴きながら俺達の方に近寄ってきた。 「きゃん!きゃんきゃん!」 「うわ…可愛い!ポメちゃん三匹だぁ!えっと名前は確か…」 「ブルー、キラ、メメだよ。その真ん中のがブルー。左がキラで右がメメ。結構人見知りするんだけど、あんたには懐いてるね」 三匹とも初対面の相手には警戒するからかいつも威嚇するような態度を取るのに、驚く事に彼女に対してはやけに素直に近寄り頬をすり寄せていた。 「わ、舐めてきた!可愛い!初めまして、よろしくね」 三匹の名前は俺と幸と新がそれぞれ一匹ずつ決めたもの。 ブルーは俺、キラが幸でメメが新。 みんな名前の由来なんて特にない。 それぞれがそのときに思いついた名前を付けた。 三匹の中ならどの犬も本当に可愛いけれど、俺達はそれぞれ自分達が名前を付けた犬を特に可愛がってきたと思う。 自分が14歳のときに我が家にやって来たブルーは、俺にとって最も愛着のある存在。 そんなブルーが、今は俺の事なんか完全に無視して純の頬を幸せそうにペロペロと舐めていた。 こんなにはしゃいでるブルーは、久々に見たかもしれない。 もしかして、人の好みは俺に似たんだろうか。
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